音楽力(日野原重明・湯川れい子)に学ぶ 「孤独を癒やす音楽の力 ~同質の原理~」

書籍からやさしさを育む力について考える、架空の書店「あかり書房」です。


今回は2004年に発売された「音楽力」(日野原重明湯川れい子
を題材に、
「孤独を癒やす音楽の力 ~同質の原理~」
について、みなさんとともに学んでいきたいと思います。


あかり書房店主の私は、現在45歳の男性です。
高齢者施設で、介護ヘルパーをしています。

 

この私は、今はとても楽しく生活できているのですが、20代の前半は無気力で孤独でした。


毎日会社には行っているものの、特になりたいものもなく、成したいこともない。

 

周りに良い先輩や友人は沢山いたのですが、自分自身が無気力で人にあまり会いたくなく、殻に閉じこもり、孤独を感じていました。


今思えば、孤独を感じること自体は何も問題なかったのですが、「孤独を感じている自分を客観視できず、独りよがりな行動を取っている。」ことが、問題でした。

 

そんな私がある音楽に出会い、孤独な自分をありありと客観視し、孤独から徐々に脱することができました。
そこから、少しずつ外の社会に馴染み、人に少しずつ感謝できるようになってきました。

 

なぜ音楽によってそのように変われたのか、その後に読んだこの、「音楽力」という本で、その理由が分かった気がします。


今回はその理由をもとに、音楽の持つ力、孤独を癒やす力について考えたいと思います。


【音楽の持つ力 ~同質の原理~】
私の孤独がなぜある音楽によって癒えたのか。
その理由は、この本に書いてある「同質の原理」によるものだと、私は考えています。


この本では、以下のように湯川れい子さんが説明されています。

 

~以下引用~

 アートシュトラーという人が理論的に提唱したといわれている「同質の原理」なのですが、古くは、十六世紀ごろに、ヨーロッパのお医者さんが発見していて、たとえばうつ病の人がいたとします。
私たちは、うつ病の人に元気になってもらいたいと思って、陽気な楽しい音楽を聴かせようとしがちです。
 ところが、これはまったくの逆効果で、元気な音楽を無理やり聴かされた人は、さらに落ち込んでしまい、自殺してしまうことさえあります。
つまり、効果的な方法は、「同質の原理」に基づいて、うつ病の人の心の状態に一致するような、それと同質の音楽を聴かせることなんですね。

~以上引用~


私が当時癒されたのは、「レッドホットチリペッパーズ」というバンドの「アンダー・ザ・ブリッジ」という曲です。
この曲は、このバンドのボーカリストの絶望的な孤独を歌った曲とされています。
歌詞の内容は以下のようなものです。

 

「時々、俺には友達やパートナーが一人もいないって気分になる。
(麻薬を買うお金が無いから、)橋の下で血を抜いて、それを売っている。
ただ、俺の住む街(ロサンゼルス)だけは友達でいてくれて、一緒に泣いてくれている気がする。」

 

この歌詞の内容は、私の個人的状況、体験とは異なるものです。
しかし、この歌詞を読んで、「これは私のことをすべて理解し、書いた詩だ。」と当時思いました。

孤独という気持ちの「質」は同じだったからです。


なお、私はこの詩に惹かれてこの曲に気づいたわけではありません。

メロディを聴き、リズムを感じて深く感動し、「どんなことが歌われているのだろう?」と強く知りたくなったので、詩を調べたのです。


メロディは、静かで美しく、そして悲しげなものでした。

リズムはゆったりとしていて、ベースやドラムが出すビートはメロディの持つ悲しげな調べをなぞるような優しいものであり、決して強いものではありません。


なぜ、私はこの曲のメロディやリズムに気づき、癒やされたのか、その理由も、以下の湯川れい子さんの文章を読むと、理解できます。

 

~以下引用~

ほんとうに共鳴できる音楽を聴くことで、少し元気になる。
なぜかというと、そうした音楽の中には、情緒的に働きかける部分があると同時に、「リズム」「音楽としてのリズム」があるからです。
どんなに陰鬱な音楽でも、そこにはリズムがありますから、それが心臓や脳に働きかけて、ホメオスタシス(定常性)を活性化させるわけです。
それが、「少しだけ元気になる素」になるというわけです。

~以上引用~

 

曲の持つ情緒的な部分と、優しいリズムが、私の身体と共鳴したのですね。
「同質の原理」により、絶望的な孤独を歌った曲が、私の孤独とシンクロした。


そこで、私は理解された気持ちになり、自分が曲の主人公を観ることができ、自分を自分の人生の主人公として客観視できた。
だから、急速に孤独が癒やされたのだと今、思います。


【同質の原理を、生活に応用する】
この同質の原理を応用すると、より生活が豊かにする可能性が高まります。

 

例えば、大好きな曲について、なぜ大好きなのか、その曲のどの部分が自分の何と同質なのか、考えてみると、よりその曲を深く理解できます。
そして、その曲を理解することにより、自分自身を客観視し、深く理解できます。

 

また、大切な家族や友人など、自分が関係する人と接するときにも有効だと思います。
その人が落ち込んでいるときにはそのリズムと同調し、励まして元気にさせるのではなく、理解に努める。


理解した内容、あるいは仮に理解できなかったとしても、理解しようとする姿勢そのものが、その人の何かとシンクロする。
そうすると、その人が少しずつ自分を客観視し、周りが見えるようになり、回復に向かう可能性が高まることが期待できます。


同質の原理に基づく音楽の力を活かし、
・自分のその時の気持ちに合った音楽を選び、気持ちを癒したり、喜んだり、悲しんだりする。
・自分の好きな曲のどこが自分の何と共鳴しているのか考え、その曲と自分をより深く理解しようとすることを楽しむ。
・他者の気持ちの感じやリズムに同調し、他者に寄り添ってみる。
などして、生活に彩りを加えてもらえたら、嬉しいです。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

次回は
「本を読む人だけが手にするもの」(藤原和博
を題材にする予定です。

お楽しみに!

読体術(仙頭正四郎)に学ぶ 「自然と生きる、自然に生きる意味」

書籍からやさしさを育む力について考える、架空の書店「あかり書房」です。


今回は1998年12月に発売された 

「読体術」自分でできる東洋医学の健康診断(仙頭正四郎)
を題材に、
「自然と生きる、自然に生きる意味」
について、みなさんとともに考えていきたいと思います。


今回のブログをお読みいただいた後のゴールは、読んでいただいたみなさんに
・「今より健康な状態を楽しめるようになる」
ことと、
・「自然とともに生きる安心感を得られる」
ことです。

そのためのエッセンスは以下の3点。

1.一日のリズムに従って生きる。
2.四季を身体で感じる生活を送る。
3.身体を冷やさない

順々にお伝えしていきますが、まずこの本を手に取った経緯と私の体験をお伝えします。

東洋医学に出会い、生き方まで変わってしまった、私の体験】

私は現在40代半ばの男性です。
おかげさまで、あまり身体の衰えを感じていません。
いや、むしろ、20代の頃より今のほうが、ずっと元気に毎日を過ごせています。

その大きな要因のひとつが、東洋医学を知り、それを実践するようになったことです。


私は20代後半に、手指の爪の付け根に細菌が入ることでできる皮膚病にかかってしまいました。
最初は簡単に治ると思い、近くの皮膚科に通いました。
そこでは西洋医学に則り、皮膚病が起こっている箇所を窒素で冷却する処置をとってもらいました。
とても痛くて、その日一日手を洗うのも嫌になるくらいです。

治療直後は皮膚病の箇所が壊死して一度治ったかのようにみえるのですが、また時間をおくと再発してしまいます。
そこでまた冷却するのですが、一旦治る→再発する、の繰り返しです。
それが2ヶ月くらい続き、ほとほと嫌になってしまいました。


そこで、藁にもすがる思いで、東洋医学を実践する「仙頭クリニック」(当時都内、現在京都府にある)を訪ねました。
そして通院し、2ヶ月くらいで完治することになるのです。

仙頭クリニックの院長、仙頭正四郎医師(すなわちこの本の著者)に診てもらったのですが、ほとんど患部を診ませんでした。
診られたのは、脈の回数と強さの触診、舌の状態、日々の生活のヒアリングです。

そこで仙頭先生が私に伝えたのは、
「君の体質から、この生活リズムを続ける限り、この病気は絶対治らない。」
ということでした。


私の体質は胃腸が弱く、冷えやすく、睡眠時間を多く必要とするタイプだそうです。
ところが、私はビールが好きで毎晩秋でも冬でもグビグビ飲んでいました。
睡眠時間は大体5時間くらい。

そこでビールを減らし、食事も季節(当時は秋でした)にあったものを(外食でしたが)選び、睡眠時間を7時間くらいに増やしました。
先生から処方された漢方薬ももちろん効いたとは思うのですが、生活習慣を変えたことが、とても大きいと感じます。

なぜなら再発もせず、また文頭にも記したとおり、当時より今の方が体調がずっと良いからです。
また、それ以上に一日のリズムや季節を感じながら生活できる楽しさを得られたことが大きいです。

私が健康に、楽しく暮らせるようになった、そう変えてくれた考え方が詳しく書かれているのが、この「読体術」というわけです。

それでは順を追って、3つのエッセンスを以下に記していきます。

 

【1.一日のリズムに従って生きる】

東洋医学には、身体や自然界のすべてのものを「陰」と「陽」のふたつの要素に分ける考え方があります。
この「陰陽」(いんよう)の関係は、自然界にある周期的な変化すべてに見られます。

一日のリズムでいえば、朝日がのぼり、「陽」のリズムが強まる。
夕日が沈み、「陽」のリズムが弱まり、変わって「陰」のリズムが強くなっていく。

このリズムに、人の生活リズムも合わせていくと健康に良いというのが、この本に書かれていることです。
日中は少しくたびれるくらい身体を動かし、夜はゆっくり休む。

私はこれを実践してみて、健康になれただけでなく、自然と一体になれる気が強くなってきています。
特に現代は夜でも明るい場所(コンビニなど)や光を発する道具(スマホなど)が身近にあるので、意図的に「陰陽」をつくり、一日のリズムに従っていくことが必要だと感じます。

 

【2.四季を身体で感じる生活を送る】

自然界では、春の訪れとともに冬の間内にこもっていた生命力が徐々に首をもたげ、のびのびと成長をはじめます。
そして夏には成長活動のピークを迎え、秋には実を結び、冬には再び生命力を内にとどめて寒さをしのぎます。

東洋医学では、人の身体も四季のリズムと調和して健康を維持していると考えます。


春は「生」(せい)の季節。
この時期はすべてのものがいきいき、のびのびとします。

こののびのびとした気分を抑えず、身体を少しずつ慣らすように使い始めるのが、春に合った活動の仕方だと、この本では説いています。
「春眠暁を覚えず」といいますが、朝寝坊して陽気をやり過ごすことは避けたいです。

増えてくる陽気を活かすべく、身体が慣れてきたらどんどん活動していきましょう。

 

夏は「長」(ちょう)(=盛んになる意)の季節。
この時期には人の身体も外に向けての動きが盛んになります。
冬の間に貯えていた生命力を入れ替えようとするのです。

ですから、夏には身体をよく動かし、暑さを利用して汗をたくさんかくべきだとこの本では説明しています。

日の出の早い夏は早起きをし、日中は適切にクーラーを使いながらも汗をかきかきバリバリ動く。
早起きした分、最も暑い時間は昼寝をする、あるいは早めに休むことで睡眠時間を確保していきます。

 

秋は「収」(しゅう)の季節。
この時期には、春・夏に外側へ動いていた生命力が、内側へ「収」まってきます。
人の身体も、春・夏に盛んに発散していた生命力を、身体の奥へ収束させます。

服装を工夫して、少なくなってくる「陽気」を逃さないように心がけていくことが大事です。

また、運動の仕方として、春・夏のようにバリバリと動くと自然の流れに逆らい、消耗してしまいます。
今から訓練するというよりは、今まで身につけたものを発揮する時期。
試合や発表会に向いた季節といえます。


冬は「蔵」(ぞう)の季節。
寒さから生命を守るために、生命力を身体の奥に貯蔵しておく季節です。
木々は冬に葉を落とし、生命力の無駄な消費を防ぎます。
人も同じように、陽気の消失を防ぎ、春・夏の消耗を修復、翌年への地固めを行いましょう。

 

冬の厳しい寒さに身をさらすことは避けます。
ただし、暖房などで部屋を暖かくしすぎると、身体の表面が開き、「陽気」が身体から失われてしまいます。
部屋の温度は少し低め。衣服の工夫で身体の熱を逃さないようにしましょう。

 

【3.身体を冷やさない】
東洋医学では、「陽気」を生きる上で非常に大切にしています。
暖かい季節には「陽気」を活発に動かし、寒い季節には「陽気」を内側にしまって無駄遣いをしないようにすることは、前項で解説したとおりです。

「陽気」の最大の敵は「冷やす」こと。
寒い季節に限らず、日頃から身体を冷やさないようにすることが大切だと、仙頭先生は説きます。

まずはその意識を持つこと。
例えば、アスリートがちょっとした休憩中も上着を着て保温をするように。

そして、服装で「陽気」を逃さない。
首、手首、足首の「三首」を覆う。

最後に、食事で内部から身体を冷やさない。
冬にビールをがぶ飲みしたり、アイスやトマトを食べ過ぎるなどは避けます。

 

【まとめ】

私はこの養生法を実践するようになってから、前述したように皮膚疾患が治り、まったく再発せず、さらに健康になれました。

そして、それ以上に大きな成果
「自然とともに生きる安心感を得られたこと。」

がありました。

一日のリズム、四季の移ろい、体温のぬくもりを感じて生活することは、地に足をつけて生きる感覚を私にもたらしてくれています。

そして、「結局は人間も動物であり、自然の一部なんだ。なんでも自分でできるわけでなく、分け合って生き、生かされているんだ。」という謙虚な気持ち、やさしい感じを持つことができます。

 

健康に、ナチュラルな楽しさを感じられる人が増えたなら、ここがもっとやさしさにあふれた住みやすい場所になると思っています。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

次回は
音楽力(日野原重明湯川れい子
を題材に、

「音楽と孤独」
についてみなさんと学びたいと思います。

お楽しみに!

日本でいちばん幸せな社員をつくる(柴田 秋雄)に学ぶ日本でいちばん幸せな社員をつくる(柴田 秋雄)に学ぶ「やさしさの育み方」

書籍からやさしさを育む力について考える、架空の書店「あかり書房」です。

 

今回は2016年1月に発売された 日本でいちばん幸せな社員をつくる! ”やさしさ”を大切にしたら、人も組織も生まれ変わった / 柴田秋雄 を題材に、「やさしさの育み方」について、みなさんとともに学んでいきたいと思います。

 

トランプ氏がアメリカ大統領に就任した昨年2017年は「○○ファースト」という言葉が至るところで聞かれました。
簡単に言ってしまえば「自分、家族、自社、自国が良ければ周りがどうあろうと関係ないよ。」ということですね。それが自分に関係する場所の経済を良くすると考えるから、そのような思考、志向になるのでしょう。この「○○ファースト」は、「やさしさ=周りを思いやる、共感する」ことから遠く離れた考え方です。

 

今回ご紹介する書籍「日本でいちばん幸せな社員をつくる!」では、社員やお客様を区別せず、目の前の人を思いやるやさしさを一番大切にすることで、赤字続きのホテルを再建。黒字転換したその過程と考え方が詳しく書かれています。「やさしさ」を軸に、経済的な成功を収めたわけです。なぜ、周りを思いやる、共感するような方法で、自社の経済(業績)が良くなるのか?

 

その成功の原因から考える、やさしさを育むための具体的な3つの手引きは以下のとおりです。
1.やさしさを大事にすると、なぜ経済的にも成功するのかを理解する。 2.今いる所を、楽しい場所にする。 3.正直でいる。
順々に解説していきますね。

 

【1.やさしさを大事にすると、なぜ経済的にも成功するのかを理解する。】
著者の柴田秋雄さんは、2000年にホテルアソシア名古屋ターミナルの総支配人に就任。4期連続の赤字ホテルを、7期連続黒字の優良ホテルへ転換しました。この著書によると、その原動力が「やさしさ」だということです。
ではなぜ人にやさしくすることが、成功の秘訣となったのか?それは、「従業員のモチベーションアップ」にありました。


柴田さんが総支配人になってまずやらなければならなかったこと、それは「リストラというの名の人員整理」でした。しかし、それと並行し、柴田さんは従業員への一流の教育や社員食堂の整備に力と資金を注ぎます。


このシナリオには、当然社内幹部から反対の声があがったそうです。何故辞めさせる社員にまで研修を行うのか?しかも一流の社外研修を?何故赤字続きでリストラしなくちゃいけないのに、社員食堂に資金投入するのか?経費節減しなきゃいけないだろ?というわけです。


ここに、柴田さんの読みがありました。柴田さんの観察では、周りのホテルに負けているのは「知名度」でも「規模」でも「仕事の中身」でもなく、「社員の気持ち」だったからです。赤字続きで、会社の経営がどこに向かっていくのかも分からず、自分たちはただ尻を叩かれるだけ。それでは気持ちが荒んでいくのが当たり前だと思ったからです。


果たして、この研修と社員食堂への資金投入など、「社員にやさしくする」ことで、社員のモチベーションが大きく向上しました。モチベーションが向上することで、スキルも上がる。スキルが上がれば自信もつき、さらにお客様へのサービスが向上する。という好循環を、柴田さんは創り出したのです。


やさしさを大事にすると、なぜ経済的にも成功するのか?それは、社員にやさしくすることで、やる気が満ちるからです。

 


【2.今いる所を、楽しい場所にする。】
次の手引は「今いる所を、楽しい場所にする。」です。
柴田さんが社員のモチベーションを上げるために行ったことは、ホテルを楽しい場所にすることでした。


例えば、それは「感謝の夕べ」という催しです。毎年12月30日に、アルバイトも含めすべての従業員、その家族、取引先など、大勢の人を招いて大パーティをするそうです。

自分たちで最高の料理をつくり、さまざまなイベントを行う。この日だけはホテルを休館にするそうです。そんなことしたら、売上は下がりそうですよね。


しかし、それによって従業員、取引先が心を開きあうようになったそうです。

会社が心を開きあえる場所になれば、お客様にだって心を開けるようになる。そうすると、「形式的な」サービスが、お客様に喜んでもらえるような「やさしい」サービスになる。それを、自発的に従業員が企画、実行することを「楽しむ」組織になるということです。


【3.正直でいる。】
最後の手引が「正直でいる。」ことです。


柴田さんはこの本の中で、「人に嘘をつくのは悪い。自分に嘘をつくのはもっと悪い。」と著しています。
柴田さんは両親、祖父母から、「嘘をつくな」「正直に生きろ」と教えられ、それを守ってきたそうです。誰かを悲しませたり裏切ってまで自分が利益を得るような生き方をせず、愚直に正しいと思うことを貫く。柴田さんは、ホテル経営でもそれを実践していきます。
例えば、ホテルの数字を、アルバイトを含むすべての従業員にフルオープンにしたそうです。そして、利益がこれだけ出たから、ボーナスをこれだけ出すよ!と伝えていった。名古屋で一番のボーナスを出せるようになったときには、わざわざ新聞社まで呼んだ。モチベーションは否応無しに上がりますよね。


この正直な対応が、後々従業員に伝播していきます。そのひとつが、「食中毒事件」。このホテルで食事をされたお客様8人が、食中毒になってしまったそうです。愛知県の決まりでは、10人以上の食中毒が発生した場合、マスコミに公表する義務があるとのこと。柴田さんは公表するとお客様や従業員を落胆させるのではないか、と不安になりました。

そのとき、従業員のひとりが「公表しましょうよ!」と声を上げたそうです。


これにより、食中毒をマスコミに公表。なお、この報道を聞いたお客様があえて予約を入れてきました。「こんなときこそ、あのホテルに食事にいって恩返ししたい。」という気持ちからです。

支配人、従業員、アルバイト、お客様という垣根を超えて、「正直でいること」の大事さが、伝播した瞬間でした。

 

実は私は、この「正直でいること」がやさしさを育むのに、一番厳しく大変な行為だと思っています。柴田さんはこの本で、「誰でもやさしさは発揮できる。」と書かれています。しかし、それは自動的に楽してできることではありません。


興味深い調査結果(2016年 エデルマン・トラストバロメーター)があります。自分が働いている会社に対する信頼度についての調査です。

日本では自分が働いている会社に対する信頼度は40%しかないそうです。ちなみに中国では79%とのこと。


また、同じ調査で経営者に求められる資質として「正直である」についての結果はこうです。日本では28%。ちなみに北米59%、欧州53%です。


日本人は、正直なふりをするのが上手、ということではないでしょうか?

もちろん、相手に合わせてあげる、相手を気遣う「やさしさ」は大切だと思います。


しかし、それによって本来大切な人を、「裸の王様」にしてはいないでしょうか?それが本当のやさしさでしょうか?
私はそうでないと思います。

ではなぜ自分に、あるいは大切な人に対してさえも正直になれないのか?

それは単純で、正直であることが面倒くさく、大変だからです。

確かに会社などの大きな組織では正直であることは難しいと思いますが、せめて私は自分、自分の家族、仲間とのコミュニティの中では、正直でいようと強く感じました。

たとえそれがどれだけ面倒くさくて大変でも。


【まとめ】

1.やさしさを大事にすると、なぜ経済的にも成功するのか。それは、やさしくされた人のモチベーションが限りなくアップするからである。


2.今いるところを楽しい場所にしよう。それにより、そのコミュニティが心開かれた場所になり、人間的な交流が生まれるから。


3.せめて自分には正直でいよう。正直な場所にモチベーションは生まれ、心を開く人が訪れる。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


次回は読体術(仙頭正四郎)を題材に、
「自然と生きる、自然に生きる意味」

についてみなさんと学びたいと思います。


お楽しみに!

思い込みを排し、「希望にあふれた未来」を創る魔法を手に入れるには ~ミライの授業 / 瀧本 哲史

書籍からやさしさを育む力について考える、架空の書店「あかり書房」です。

 

今回は2016年6月に発売された ミライの授業 / 瀧本哲史 を題材に
思い込みを排し、「希望にあふれた未来」を創る魔法の手に入れ方
について、みなさんとともに学んでいきたいと思います。

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%81%AE%E6%8E%88%E6%A5%AD-%E7%80%A7%E6%9C%AC-%E5%93%B2%E5%8F%B2/dp/4062200171


この20~30年、日本は低成長にあえいでいます。


国債発行が積み上がり、債務残高(国と地方の長期債務残高)は1100兆円以上、GDPの200%を超えています。


財政破綻が騒がれるギリシャやイタリア以上に大きな負債を抱えています。
歴史的にみても、第二次世界大戦直後の1945年以外の日本以外に、これだけの負債を負っているケースはありません。


暗い状況ばかりお話ししましたが、この先もみなさんは暗い未来を想像したいでしょうか?
そんなはずはないはずです。
私は、「思いやり」という温かさと「厳しさ」という冷静さをバランスよく兼ね備えた、やさしさあふれる未来の社会を想像したいです。

 


京都大学准教授である著者はこの本で、14歳の読者に向け、「希望にあふれた未来を作る魔法」を授けています。
そこから学べる、魔法の具体的な3つのエッセンスは以下のとおりです。

1.思い込みを捨て、事実から考える方法。
2.冒険に必要な地図「仮説」を作る方法。
3.冒険をともにする「仲間」を作る方法。

順々に解説していきますね。

 

【1.思い込みを捨て、事実から考える方法。】

この本で、著者は思い込みによって大失敗した事例と、思い込みから出て事実から考え、大成功した対照的な事例を解説しています。
それは、日清戦争日露戦争で、日本軍を徹底的に苦しめた「脚気(かっけ)」という病気です。
脚気は人口3000万人のこの時代に、毎年100万人が発症、数万人の死者を出す「国民病」でした。

この脚気の対応法として大失敗したのが、陸軍医であった「森鴎外」です。
そして大成功したのが、海軍医だった「高木兼寛(たかきかねひろ)」でした。

 

森鴎外はドイツ医学を学んでいました。
ドイツ医学では、細菌学に詳しいコッホ氏らがおりました。
そのことから森鴎外脚気の原因を「細菌」と決めつけてしまったのです。

そしてそれは、単なる思い込みで因果関係を大きく外したものでした。

 

結果、日本陸軍は悲惨な結末を迎えます。
日清戦争では負傷で亡くなった人が453人、対して、脚気でその5倍以上の2,410人が亡くなりました。

 

対照的に高木兼寛は、イギリス海軍には脚気が存在しないことを知り、食事を米中心のものからパンなどの洋食に変えていきます。


結果、脚気予防に効果がみられました。
実際は脚気の発症原因は「ビタミンB1不足」なのですが、それは当時分かっていませんでした。
ただ、和食から洋食に変えると、脚気予防になることだけは分かっていたので、海軍はそのようにして結果を出したのです。

 


この事例を通し、著者は以下のように伝えています。

~以下引用~

まったくあたらしい課題に取り組むとき、考えても考えても答えが見つからないとき、そんなときには、目の前にある「事実」を拾っていきましょう。
たくさんの事実を積み重ねていった先に、答えは見えてくるはずです。

~以上引用~

これは私達が焦って近視眼的になりそうなとき。
そんなときこそ、冷静になって、事実情報を集めることが大事だということを教えてくれています。

 


【2.冒険に必要な地図「仮説」を作る方法。】

著者は仮説について、2つの大事なルールを教えてくれています。
それは
①仮説は大雑把でいい。
②仮説は空白地帯に立てる。
です。

 

①仮説は大雑把でいい。
この本では、コロンブスを例にしてこのことを教えてくれています。
コロンブスはアメリカ大陸を見つけたわけですが、そのときに使った地図はものすごく大雑把です。
地図というより、「お絵かき」のようなものでした。

しかし、冒険家にとって、地図の正確さはそれほど重要でないといいます。

 

重要なのは、
・おおよその全体像が分かる。
・おおまかな行き先(方向)が分かる。
ことだそうです。

地図とは仮説。
仮説を検証するために、コロンブスは航海をし、見事アメリカ(彼はインドだと思っていましたが)を見つけたわけです。


②仮説は空白地帯に立てる。
これはビル・ゲイツを例に説明してくれています。

ビル・ゲイツが17歳のころ、1972年、大型コンピューターが主流でした。
そして、これからは個人用コンピュータ(パソコン)の時代になる、とビル・ゲイツは仮説を立てていました。

しかも、ゲイツの仮説が優れていたのはここから。
「その時には『ハード』ではなく、『ソフト』が重要になっているはずだ。」

もし、ゲイツがハード、すなわちコンピュータ開発に力を入れていたら、IBMのような大企業と戦わなくてはなりません。
だったら、すべてのパソコンに使われるような「ソフト」を作ればいい。

ゲイツは「ソフト」という空白地帯に旗を立てたのです。

ここでは、私達がどうせ仮説を立てるなら、「空白地帯」すなわち競争の少ないブルーオーシャンに立てる方が良いことを教えてくれます。

 


【3.冒険をともにする「仲間」を作る方法。】

なぜ「仲間」が必要なのか。

このことについて、著者は以下のように書いています。


~以下引用~

どんなに強い勇者でも、ひとりで冒険に出ることはありません。
戦士、魔法使い、僧侶といった個性豊かな仲間たちと「パーティー」を組んで、世界を救う旅にでます。

~以上引用~


そして、このときに必要な作業として、
「自分の個性を知ること」
を挙げています。

我々は全員が「70億分の1の個性」を持ったかけがえのない人間。
その個性を知らなければ、優れた組み合わせを作れないからです。


そして、著者は個性を知り、すぐれたパーティーを作った事例として
「鉄の女」 マーガレット・サッチャー イギリス首相 を支えた男
「デニス氏」
を例にとっています。


デニスはもともと実業家でした。
そして、保守党の支持者でもあった彼は、サッチャーを応援するパーティの席で、彼女と知り合います。
二人は少しずつ惹かれ合い、ついに結婚に至ります。


「男が働き、女が支える」ことが当たり前だった時代、デニスはその逆の役割を引き受けました。
奥さんばかりが注目され、自分はともすれば馬鹿にされる、そんな役回りを引き受けたのです。


デニスに支えられながら、サッチャーは最強のチームを作ります。

 

何人かの専門家を雇い、
・栗色の毛をブロンドに染め上げる。
・炭水化物制限ダイエットにより、9kg減量。
・ボイストレーナーにより、発声法そのものを変える。
などのイメージ演出をしたのです。

これは、
「女性らしいチャーミングさを活かす」シナリオから、
「落ち着いた、威厳に満ちた宰相のイメージを醸し出す」シナリオへの変更を、外部へ印象づけさせるものでした。


サッチャーはこの後1979年にイギリス首相に就任、11年間首相を勤めあげます。
確かに彼女は優れた政治家でしたが、その陰には、それを支え続けたデニスという男の存在があったのです。

 

この話を読んだとき、私は伏見工業高校(当時)ラグビー部の、山口監督のことを思い出しました。

彼は全国大会の決勝の日、15人の先発メンバーにこのようなことを言ったそうです。
「スタンドを見てみろ。あそこにはベンチにも入れない多くの仲間がお前たちを応援してくれている。
その仲間の分まで、思い切り試合を楽しんできなさい!」


このような言葉も使いながら、結びつきの強いチームを監督が作り上げたからこそ、日本一になれたのではないか、と感じます。
まさに
「One For All,All For One.」
ですね。


【まとめ】
1.答えが見つからないときには、目の前の事実を丹念に拾っていこう。
たくさんの事実を集めた先に、答えは見えてくる。

2.大雑把でいいから、仮説を立てて検証しよう。
仮説は空白地帯に立てよう。

3.ひとりでは何もできない。
自分を知り、仲間の個性を大事にして、強いチームを作ろう。


このようなことを大事にして、私はみんなと「希望にあふれた明るい未来」を創っていきたいと考えています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

次回は
日本でいちばん幸せな社員をつくる! 柴田秋雄著
を題材に、

「やさしさを育む方法」
についてみなさんと学びたいと思います。

 

お楽しみに!

「怒り」がスーッと消える本 水島広子著 に学ぶ、怒りの2次災害防止法 ③「今」に集中しよう。

前回に引き続き、水島広子さんの本に学んだことをシェアします。

今回(第3回)のテーマは「今」に集中しよう。
です。


今回のテーマは、例えば、
・友人にずっと愚痴を言われてムカムカする。
・いつ終わるか分からないお客様の話を長時間聞かされてイラつく。
・子供に急に話しかけられ、その話が長引くと怒ってしまう。
などの状況で使えます。


水島さんは、怒りは「過去の記憶」に影響されていると説きます。

~以下引用~

私たちは人の話を聴くときに、ほとんどいつも、「過去のデータベース」を通して聴いています。
「愚痴」というのも、「また同じ話だ」というのも、過去のデータベースに基づく評価です。

~以上引用~


私は普段から傾聴するよう、意識しているつもりでした。
しかし相手の話が長くなりそうだと、「またかよ!」と思ってしまっていました。
そこから先は聴けないし、怒りが増すばかりなのですよね。

そこで、水島さんは「今、相手の話を聴くこと」に集中せよとアドバイスしています。

~以下引用~

「今、相手の話を聴くこと」に集中するのです。
すると、いつもとは違う雰囲気で聴けることに気づきます。
それは何とも言えない、温かい感覚です。
もちろん、現在に集中しているときは相手に何の評価も下していませんから、アドバイスも出てきません。
思考を脇に置くということは、「相手の問題を解決することもやめる」ということなのです。
問題解決もせずに、ただ相手の話を聴くことに集中します。
すると、相手の話は、結果として短く終わるのです!

~以上引用~

この文章を読んで、私は今、声を掛けられたらなるべく集中して話を聴くようになりました。
そうすると、確かに相手との間に温かい空気が満ちてきて、良い雰囲気で聴き終われるようになったと思います。
また、評価をしないことにより、上下関係でなく横の関係となり、意見交換も活発かつ率直に行えるようになったと感じています。
もしよかったらこの、
「今」に集中する。
も試してくださいね。


さて、3回に分けて精神科医 水島広子さんの本 「怒り」がスーッと消える本
を紹介してきたわけですが、この本が一番言いたかったことは
「主体的に生きよう!」
ということだと思います。


「被害者」だと思うから、何らかのトラブルになると、怒りを感じるわけです。
怒りは必要な感情だと知り、「主体者」となって、役割期待のずれを解消しよう。
今に集中しよう。
そのことによって、怒りが続いてしまうことをストップしよう!
ということです。

この本を読んで、私は自然に怒りを長続きさせられなくなりました。
さらに、主体的に生きる姿勢までも身につけられる知恵を授けていただいたと感じています。
怒りは殺人、自殺までつながってしまう危険性も帯びているので、一人でも多くの方にこの本を読んで頂きたいです。

次回の「やさしさを育む本」として、
ミライの授業 / 瀧本 哲史
を紹介したいと思います。

引き続き、よろしくお願いします!

 

「怒り」がスーッと消える本 水島広子著 に学ぶ、怒りの2次災害防止法 ②「役割期待」のずれを解消しよう。

前回に引き続き、水島広子さんの本に学んだことをシェアします。

今回(第2回)のテーマは「役割期待」のずれを解消しよう。
です。


怒りという感情は、何か不利益なことを押し付けられている、あるいは自分が期待していることをしてくれない、など見過ごすと困った状態になることに気づかせてくれます。
今回お伝えしたいのは、困った状態になることに気づいた際の、効果的な対処法です。


水島さんは、対人関係ストレスの原因が「役割期待」のずれにあると考えられています。
役割期待」とは何か。
私たちは、人に対して何らかの役割を持つことを期待するものだそうです。

例えば知らない人にさえ、「知らない人」という役割を期待します。
ですから、道ですれ違う知らない人にしつこく声をかけられると、怒りを感じるわけです。
相手に対する怒りは、「相手の自分に対する役割期待」と「自分の相手に対する役割期待」のずれから生じるといえます。


それでは役割期待のずれを補正するにはどうしたらよいか。
水島さんは
1)相手の役割期待を確認する。
2)自分の役割期待を伝える。
ことを提唱されています。


実際、私は家族に対してこれを試したみたとき、すごい効果を実感しています。

 

例えば妻が私に怒りを感じている際、私に対してどんな役割期待を持っているのか確認する。
そして私ができることを伝え、私が妻にしてほしいこと(役割期待)を伝える。
それだけで、言い合いになることが激減したと感じています。

 

また、子供に対して、以前は「○○して!」と一方的に伝えていました。
この本を読んでからは、まずなぜ子供が何を私に期待しているのか、なるべく聞くようにしています。
そして、「○○してくれると嬉しい」と伝えるようになりました。


結果として、以前の「命令」より、今の「依頼」の方が、子供も私の期待に応えてくれるケースが増えました。


私は家族に対して大きな改善がありましたが、会社内の人間関係でもこれは大きな効果を発揮すると思います。


上司、あるいは部下が、仕事の大きな目的において私にどんな役割期待を持っているのか。
そして私は彼らに対し、どんな役割期待を持っているのか。
それをわずかでも確認しようとするなら、そこに思いやりのある交流が生まれると感じます。


次回はこの本における第3回
「今」に集中しよう。
をお届けします。

「怒り」がスーッと消える本 水島広子著 に学ぶ、怒りの2次災害防止法 ①怒りを感じることは悪いことではない。

あなたの心にあかりを灯し、やさしさを育む本を紹介するブログで初回に紹介するのは、
「怒り」スーッと消える本 水島広子著 
https://www.amazon.co.jp/dp/B00NN28IJC/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1
です。

なぜこの本を紹介するのか。
それは、怒りが引き起こす問題がとても大きいと感じるからです。

怒りを感じて、衝動的に行動すれば傷害や殺人事件にまで発展してしまいます。
(先日の元日馬富士の騒動がそうです)
また、怒りを引きずっていると、うつ病などにもつながる危険性が高まります。

私自身、この本を読んで怒りを引きずることができなくなってしまいました。
引きずることを努力して止めているのではありません。
できなくなってしまうのです。

読んでいただければそれをよく実感していただけると思うのですが、今回を含め、3回シリーズでその概要をお伝えしていきます。

お伝えしていく流れは
第1回(今回) :怒りを感じることは悪いことではない。
第2回 :「役割期待」のずれを解消しよう。
第3回 :「今」に集中しよう。
です。

それでは以下より、今回のテーマについて私の体験や所感を含めてお伝えしていきますね。

 

 

第1回【怒りを感じることは悪いことではない。】

この本を読んでも、全く怒らなくなる人に変われるわけではありません。
なぜか。
精神科医である著者の水島さんは、「あらゆる感情には意味がある。」と説きます。

例えば熱いやかんに触れたとき、熱さという感覚を感じなければ火傷してしまいます。
感情も感覚に似ていて、何かを教えてくれるもの。
怒りという感情は、何か不利益なことを押し付けられている、あるいは自分が期待していることをしてくれない、など見過ごすと困った状態になることに気づかせてくれます。


水島さんは、
「怒りのこうした役割を知ることが、怒りをコントロールする第一歩となる。」
と教えてくれています。


私自身、怒りを感じること自体が自分の未熟さのあらわれなのではないか、と思ってしまうことがありました。
そのため、怒りを感じてもそれを押し殺してしまったり、無意識のうちに怒りの感情を無視してしまっていました。
結果、そこでは怒りをやり過ごせたとしても、あとで怒りがぶり返すこともありました。


この本を読んでから、怒りを感じたとき、落ち着いて、なるべく客観的にニュートラルにそれを感じるようになりました。
そうすると、ちゃんと相手にしてほしいことを伝えるなど、適切な処置をとるようになってきています。

 

「怒りを感じることは悪いことではない。」
これを知っているだけでも、少し毎日を楽に楽しく過ごせるようになるのではないでしょうか。

 

次回は「役割期待」のずれを解消しよう!をお届けします